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徳島地方裁判所 昭和60年(ワ)24号 判決

主文

原告の被告両名に対する請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告富士火災海上保険株式会社は原告に対し、金四四三万二〇〇〇円及びこれに対する昭和六〇年二月二四日から完済まで年六分の割合による金員を支払え。

2  被告東京海上火災保険株式会社は原告に対し、金一八五万円及びこれに対する昭和六〇年二月二六日から完済まで年六分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は被告らの負担とする。

4  一、二項につき仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求はいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告は被告富士火災海上保険株式会社(以下単に富士火災という)と左記保険契約を締結し、各保険料は支払継続中である。

(一) 自家用自動車保険

(イ) 契約年月日 昭和五九年六月一五日

(ロ) 保険金 搭乗者傷害金一〇〇〇万円 入院保険金日額金二万一〇〇〇円 通院保険金日額金一万円

(ハ) 保険料及び支払期日

初回金一万九五三〇円、月掛一〇回払い、一回金六五一〇円

(ニ) 保険契約者及び被保険者 原告

(二) 積立ファミリー交通傷害保険

(イ) 契約年月日 昭和五九年五月一五日

(ロ) 保険金 入院保険金日額本人金七五〇〇円 通院保険金日額本人金五〇〇〇円

(ハ) 保険料及び支払期日

金一万九一八〇円の月払い

(ニ) 保険契約者及び被保険者 原告

(三) 積立ファミリー交通傷害保険

(イ) 契約年月日 昭和五九年六月二六日

(ロ) 保険金 入院保険金日額本人金七五〇〇円 通院保険金日額本人金五〇〇〇円

(ハ) 保険料及び支払期日

金九二万三四〇〇円一括払い

(ニ) 保険契約者及び被保険者 原告

2  原告は被告東京海上火災保険株式会社(以下単に東京海上という)と左記積立ファミリー交通傷害保険契約を締結し、保険料は支払継続中である。

(イ) 契約年月日 昭和五九年七月二四日

(ロ) 保険金 入院保険金日額本人金一万五〇〇〇円 通院保険金日額本人金一万円

(ハ) 保険料及び支払期日

一、二回目一括払い、一回分金三万八三八〇円月払い

(ニ) 保険契約者及び被保険者 原告

3 原告は昭和五九年八月二二日午後九時二五分ごろ、普通貨物車を運行中、徳島市南二軒屋町神成八三六番二先の路上において電柱に衝突し、頸椎捻挫、左上腕神経叢炎の傷害を受けた。

4 原告は右傷害により、八木整形外科病院において、同年八月二三日、同二四日の両日通院治療し、翌二五日から同年一二月二四日まで一二二日間入院治療を受けた。

5 よって、原告は被告富士火災に対し、前記1(一)(二)(三)記載の入院保険金日額合計金三万六〇〇〇円の一二二日分である金四三九万二〇〇〇円と右同通院保険金日額合計金二万円の二日分である金四万円、以上合計金四四三万二〇〇〇円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である昭和六〇年二月二四日から完済まで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める。

原告は被告東京海上に対し、前記2記載の入院保険金日額金一万五〇〇〇円の一二二日分である金一八三万円と右同通院保険金日額金一万円の二日分金二万円、以上合計金一八五万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である昭和六〇年二月二六日から完済まで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

(被告富士火災)

1 請求原因1の事実は認める。

2 同2ないし4の各事実は知らない。

(被告東京海上)

1 請求原因1の事実は知らない。

2 同2の事実は認める。

3 同3、4の各事実は知らない。

(被告両名)

仮に原告が何らかの程度の傷害を負ったとしても、原告の傷害はごく軽微なもので、一二二日間もの入院を要することは到底考えられない。

三  抗弁(被告両名)

1  事故通知義務違反による免責

被告両名と原告との間の積立ファミリー交通傷害保険の普通保険約款(以下単にファミリー約款という)第二八条には、被保険者が傷害を被った時は、事故の発生状況及び傷害の程度を事故日より三〇日以内に書面により通知しなければならないと定め、これに違反した場合には保険金を支払わないこととされている。同様に被告富士火災と原告との間の自家用自動車保険(以下単に自家用約款という)第六章一般条項第一五条には同第一四条二号に規定する事故を六〇日以内に通知しない場合にも保険金を支払わないこととされている。

原告は被告らに対し、前記各期間内に本件事故の状況及び傷害の程度について通知しなかった。

2  重複保険契約締結の際の通知義務違反による解除

(一) 被告らは後記(二)の各事由に基づき、被告富士火災は昭和六〇年三月一三日、被告東京海上は昭和六〇年三月五日いずれも原告に到達の書面により、仮に被告東京海上において右書面が到達していなかったとしても、昭和六〇年三月七日到達の答弁書により、請求原因1、2各記載の契約を解除する旨の意思表示をしたから、被告らには保険金の支払義務はない。

(二) 解除事由

ファミリー約款第二〇条には、保険契約者が保険契約締結後、他の保険契約(以下重複保険契約という)を締結するときは、あらかじめ書面をもってその旨を保険会社に通知し、保険証券に承認の裏書を請求しなければならず、保険会社は右重複保険契約の事実があることを知ったときは、保険契約を解除することができる旨規定されているところ、原告は被告らとのファミリー保険契約を締結後の昭和五九年八月七日ごろ、重複保険契約であるアメリカンホーム保険と傷害保険契約を締結するにつき、被告らに対し右の通知や請求をしなかった。

なお、被告らが、原告とアメリカンホーム保険との契約を知ったのは、昭和六〇年二月一四日であった。

被告富士火災との間の自家用約款第六章一般条項第四条に重複保険契約を締結するときは保険会社に対し、保険証券に承認の裏書を請求しなければならないと規定されているところ、原告は本件自家用保険契約を締結後、多数の保険契約を締結したのに右請求をしなかった。

(三) 仮に重複保険契約を締結するについて、通知義務の懈怠その他約款上の通知義務の懈怠について、故意又は重過失を必要とするとしても、後記3項記載の事実から、原告は故意にその通知を怠ったものである。

3  故意の受傷による免責

本件各契約においては、保険契約者又は被保険契約者の故意によって生じた傷害については保険金を支払わない旨の約定がなされていたところ、本件事故は原告が保険金を取得するため故意に生じさせたものであるから、被告らは保険金の支払義務はない。

(一) 本件事故は原告の自損事故であり、本件事故現場は住宅地の中の細い道路を毎時五五キロメートルの速度で後退し、道路からはずれた位置にある木製の電柱に衝突したというものであるが、右のような高速度の後退では電柱に衝突することは不可能であり、原告車両の破損の程度が軽微すぎ、事故の発生状況についての説明が不自然である。

原告は本件事故後、夜九時二五分という遅い時間に警察官を呼んで事故の発生を確認させ、後に事故証明を発行させている。このような時間帯に、自損事故を起こしたことをわぎわざ警察官に知らせることは、最初から保険金請求の目的があったものといわざるをえない。原告は事故発生の通知を被告らに対してなさず、入院中に保険会社の代理店の岡沢に喫茶店で会ったのに事故による受傷の事実を告げず、ことさら隠そうとしていた。

(二) 原告の疾病名は、頸椎捻挫、左上腕神経叢炎であって、主として自覚症状を中心とするものであり、原告車両の破損状況の軽微な点からみて、入院の必要があったとは考えられず、八木整形の治療も最初から最後まで同じ内容の治療に終始していた。

(三) 原告は徳島市農協との間で養老生命共済契約を締結し、昭和五五年一二月から昭和六一年四月までの間、わずか五年半の間に疾病災害等で六四四日間入院し、金六四五万円もの多額の共済保険金を受領した。ことに昭和五九年八月から昭和六一年二月にかけて途中若干の中断はあるものの、殆ど入院し続け、同年四月一五日右共済契約を合意解除した。

(四) 原告は昭和五九年三月ごろ、妻より「仕事はしないし、浪費をする」等の理由で離婚調停を申し立てられ、定職についていたかについて不明であるのに、本件事故の直前の昭和五九年二月から同年八月にかけて、被告らほか全労済、簡易保険、アメリカンホームと保険契約を締結し、その入院日額は金七万七〇〇〇円に及んでいる。

四  抗弁に対する認否

1  抗弁1の事実は認める。

被告ら主張の約款は、被告らが一方的に不動文字で印刷したものであり、被告らの取引の便宜化と合理化の目的で作成されたものである。本件事故発生の通知が遅れたことにより、被告らにおいて具体的な不都合は発生していないのにかかわらず、約款の規定を根拠に免責規定を適用することは許されない。本件保険契約に際し、原告は契約の直接の担当者から約款の説明を受けず、その書面の交付もなされていない。しかもその約款は、通常の社会人でもよほど注意しないと意味内容を十分に理解しがたいような細かい字で書かれている。

このような約款により、保険会社が保険金の支払を免れるとすれば、不合理な利益を保険会社にもたらし、契約当事者間の衡平を失する。

2  同2はその主張の約款が存在すること、アメリカンホーム保険と契約していることは認めるが、その余は争う。

右約款にいう重複保険契約の意味が明らかでない。保険には多種のものがあり、近時、保険より貯蓄に重点を置いた生命保険、傷害保険などが開発され、本件の保険と重複するとされるのは、どの範囲のものか一義的ではない。現在保険が充ちあふれており、掛け捨て型のものや貯蓄性を加味した保険をおりまぜて、将来の安心を買うため多数の保険を契約している。このような現状を前提とすれば、保険が重複するだけで、本件約款に規定する義務違反とはならない。特に、積立ファミリー保険は、正確な意味での損害保険契約ではなく、定額保険契約であり、生命保険契約と共通の性格をもち、傷害が現に発生した以上、重複であるかを問わず、保険金が支払われるべきである。

また重複保険契約になるとしても、約款の文言に従って直ちに保険者に保険契約の解除を認めるのは相当でなく、不法な保険金の取得の目的をもって、重複保険契約をするなどその保険契約を解除するにつき、公正かつ妥当な事由がある場合に、はじめて解除できるものと制限的に解するのが相当であり、原則としてこのように解しても保険者に対し、不当な負担と不利益を強いるものではない。

被告ら主張の解除は「将来に向ってのみその効力が生じる」と解する約款第二五条の解除である。

3  同3の事実は、本件各保険契約につき、被告主張の約定がなされていること、原告が入院中保険会社代理店の岡沢に喫茶店で会ったこと、原告は徳島市農協との間において養老生命共済契約を締結し、その主張の期間入院し、その主張の共済保険金を受領したことは認め、本件事故を故意に生じせしめたことについては否認し、その余は争う。

原告は、本件事故当日、本件事故現場に知人を訪ねて来たものであるが、不在のため、原告車を後退しようとして、スピードを出しすぎてカーブを曲がり切れず、電柱に衝突したものである。スピードについては、原告は五五キロメートルと供述したが、これは原告において表現能力が十分でないためであって、「スピードメーターは見ておりません」「それは私の勘です」との供述と後退を開始してから八ないし一〇メートルで衝突している点を総合すれば、通常の後退速度に比較すれば、かなり速いものであったことを意味するにすぎず、原告車両の後部バンパーが大きく湾曲しているのと符号する。自損事故で夜間、警察に通報したことについても、運転者としての義務であり、また、本件の事故で負傷も当然考えられたので、保険契約をしていれば、保険会社から保険金を受領することもありうるので通報したものである。

原告の本件事故による受傷内容は請求原因記載のとおりであるが、他覚的所見として頸椎の運動制限があり、医師の指示に従いその主張の期間、入、通院して治療を受けたものである。原告は昭和五四年に農協との間に養老生命共済を契約し、共済金を受領しているが、受給原因は本件を除き疾病による入院であり、不正受給したことはない。

五  再々抗弁

被告らにおいて、本件被告ら間の保険が相互に重複しているのを知ったのは昭和六〇年一月一六日であり、ファミリー約款二四条五項に定められている一か月の除斥期間を経過し、解除権が消滅しているので、本件アメリカンホーム保険との重複保険契約についての解除権も消滅しているものである。

六  再々抗弁に対する認否

再々抗弁事実は争う。

第三  証拠〈省略〉

理由

一  請求原因1の事実は原告と被告富士火災との間において、同2の事実は原告と被告東京海上との間においていずれも当事者間に争いがない。

二  〈証拠〉によれば、原告は昭和五九年八月二二日午後九時二五分ころ、普通貨物自動車(以下原告車という)を運転し、徳島市南二軒屋町神成八三六番二先路上(以下本件事故現場という)において、電柱に衝突し、頸椎捻挫、左上腕神経叢炎の傷害を受け、八木整形において同年八月二三、二四日の両日通院治療し、同月二五日から一二月二四日まで入院治療したことが認められ(入院治療の必要性は除く)、右認定に反する証拠はない。

三  被告らは、本件事故は原告が保険金を取得するため故意に生じさせたものであるとして、本件事故につき免責を主張するのでこの点につき検討する。

1  〈証拠〉によれば、本件事故現場は南北に走る五メートル巾員の直線道路の西側に巾員三・五メートルの直線道路が交わるT字型交差点であること、原告は昭和五九年八月二二日午後九時二五分ごろ、本件事故現場近くに住む友人井上恵治方を訪ねるべく、右西側道路を進入して、同人方側まで行ったところ、家の明かりが消えていたため、方向転換するため、本件事故現場の南北の道路に出ようと、西側道路を八メートルないし一〇メートルほど原告車を後退させたところ、右南北道路の東外側端より三〇センチメートル東に、西側道路の北外側端より東方向に延長した線より二〇センチメートル北方寄りに設置されていた木製の電柱に原告車後部が衝突し、後部バンパー中央付近とその上部のトランクカバーの最下部中央付近に凹損が生じたこと、本件西側道路は軽四自動車が一台で一杯になる程度の道路幅で、左右には人家が立ち並んでいること、右事故後、原告はすぐに徳島東警察署に申告し、事故調査を依頼し、翌日前記認定のように八木整形外科病院で治療を受けたことが認められ、右認定に反する証拠はない。

右につき原告は後退時の速度を五〇キロメートルないし五五キロメートル程度であったと供述するが、原告車の前記後部バンパー付近の凹損の程度は、〈証拠〉に撮影されている凹損状況からすると、軽微な破損であることが認められ、高速度で後退した際に生じた破損であるとは認定しがたく、かつ前記のように、左右に人家の立ち並ぶ三・五メートル巾の道路において、八メートルから一〇メートルの短い距離をそのような高速で後退しうるかに疑問を持たざるをえず、後記治療の経過とを併わせ考えると、前記供述は措信しがたいところである。

2  治療経過については、〈証拠〉によれば、原告は、本件事故の翌日の八月二三日、八木整形において診断を受けたものであるが、その際の主たる症状は、左上腕神経叢の痛みであり、レントゲン検査の結果は、頸椎の前屈後屈の運動制限があったこと、八月二五日左上腕神経叢の痛みについて様子を見るため大事をとって、同病院に入院することになったこと、原告は愁訴が強く、自覚症状の改善が遅く、治療としては、自律神経性の緊張、筋肉の緊張を緩和するものや、不定愁訴をとるための薬剤を使用し、鎮痛剤の注射を投与するのが主たるものであり、右治療方法は退院までほぼ同じ内容であったこと、しかしながら、退院後は、右内容の治療はほとんどなされていなかったこと、同病院の診療録には、入院患者の朝、昼、晩の食事の有無、尿、便の回数を記載することになっているが、原告については、九月一二日、一八日、二〇日、二一日、二二日、二五日、一〇月一日、一〇日、一三日、一九日、二三日、一一月三日、六日、一九日、二〇日の各日付の欄には、その記載がないことが認められ、右認定を左右する証拠はない。

3  原告の過去及び事故時の保険契約の状況については、原告が昭和五四年三月三日から昭和六一年二月二〇日までの間、今回分を含め疾病等で六四四日間入院し、金六五四万円の共済保険金を受領したことは、当事者間に争いがなく、〈証拠〉によれば、原告は、昭和六一年四月一五日右共済契約を合意解除し、昭和五九年二月から同年八月までの間、被告二社のほか、全労済、簡易保険、アメリカンホーム保険会社との間に保険契約を締結し、いずれも入院保険付きで、その入院日額の総額は金七万七〇〇〇円に及ぶことが認められ、右認定に反する証拠はない。

他方、原告は収入につき、月額金三〇万から金四〇万円であると供述するが、それを裏づける証拠はなく、〈証拠〉によれば、原告の妻小岸静代は昭和五九年二月一九日家を出て原告と別居し、同人は同年三月七日原告を相手方として、徳島家庭裁判所に離婚調停の申立てをなし、その申立書の相手方職業欄に無職と記載し、離婚申立ての理由は、相手方である原告が仕事をせず、浪費をするというにあること、同年五月二三日離婚調停が成立し、原告らの子である長男、次男、長女の全員を妻が引き取り養育し、原告が負担すべき養育料については、なんら定められなかったことが認められることから、原告の収入はその供述の金額に及びうる数字にはなりえなかったといわざるをえない。

4  以上の事実によれば、本件事故は夜間における前記認定のような軽微な自損事故であり、目撃者がおらず、原告は事故当日は病院に行かず、直ちに警察に連絡して事故証明を作出しているものであるが、前記のように原告車を後退するに際し、五〇キロメートルを超える速度、あるいは、それに近い高速度を出していたものであるかは、前記事実から認めがたいところから、本件事故の具体的内容を明らかにしえず、右事故直後の原告の行動と併わせると偶発的に発生した事故と断定しがたいところである。また、傷害の内容、程度も主として、原告の自覚症状によるもので、前記認定の治療内容、治療経過からして入院の必要性があったのか、疑いがもたれるところである。更に、過去の保険契約における保険金の受領状況、本件事故直前に集中的に被告ら五か所との間に保険契約を締結し、入院保険日額は総額で金七万七〇〇〇円に達し、その保険料負担に見合う収入額についての立証はなされず、かえって、前記認定の事実によれば、本件事故前に何回も入、通院を繰り返し、仕事をしないことが理由で離婚となったことからすれば、収入と見るべきものは、前記保険料負担能力に、到底及ばないものであったといわざるをえず、これらを総合すると、本件事故は本件保険金を取得するため、原告において故意に作出したものと認定せざるをえない。

原告と被告ら間に被告ら主張の免責の約定がなされていることは、当事者間に争いがないので、被告らのこの点の抗弁は理由がある。

四  以上から、原告の本訴各請求は、その余の点につき判断するまでもなく失当であるから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 來本笑子)

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